出雲市斐川町にある加毛利神社(かもりじんじゃ)。

ここはなんとあえて鳥居を造らないという伝統を持った神社です!その理由も、社名の由来も一風変わっています。鳥居に替わる結界として、ご覧の通り木にしめ縄を渡しただけの簡素なものが設けられています。

 

加毛利神社にはなぜ鳥居がない!?

理由はご祭神が天津神だから

 

天津神と国津神

天津神(あまつかみ)とは、高天原(たかまがはら)いわゆる天界に住んでいる神様のこと。これに対して日本国土に昔から住んでいる神様を国津神(くにつかみ)と呼びます。

 

天津神に国を譲った出雲

天照大御神(あまてらすおおみかみ)はもちろん天津神。出雲の大国主命(おおくにぬしのみこと)は国津神。つまり出雲は国譲り神話において、天津神に国を譲った事になります。

そして国を譲る代わりに出雲大社を建立したのですが、天津神と同じくらい立派なお社を建てるという事が条件だったのです。

本来は天津神を祀る神社は、国津神の神社よりも大きくしたい。でも出雲において、出雲大社よりも立派なものを建てると出雲の人々が反発するかも・・・と悩んだ末に、「どうせ大きい鳥居を造れないなら、そもそも造らない事にしよう」と決定されたようです。

 

加毛利神社のご祭神

主祭神

天津日高彦火火出見命(あまつひだかひこほほでみのみこと)

 

配祀神

豊玉毘売命(とよたまひめのみこと)
天津日高日子波瀲武鵜草葺不合命(ひこ なぎさたけ うがやふきあえず の みこと)

主祭神のヒコホホデミとは別名を山幸彦(やまさちひこ)とも言われ、御父上は瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)、ひいおばあさんが天照大御神(あまてらすおおみかみ)となります。

配祀神の豊玉姫はヒコホホデミの妻、ウガヤフキアエズはその御子です。つまりアマテラスのひ孫一家を祀っているという事ですね。これはつまり、天皇陛下の御先祖様ということなのです。

 

海幸彦と山幸彦

ヒコホホデミは別名を山幸彦(やまさちひこ)、その兄に海幸彦(うみさちひこ)がいました。二人はお名前の通り海と山の神。山幸彦は山で狩りをするための弓矢を宝として、海幸彦は海で釣りをするための釣り針を宝として大事にしていました。

ある日二人はその大事にしていた道具を交換し、山幸彦が兄の釣り針を無くしてしまいます。それが元で二人は喧嘩となり、途方に暮れる山幸彦。。

すると、塩土老翁(しおつちのおじ)という謎の神に出会い、海神の宮に連れていかれることに。そこで出会ったのが海神の娘である豊玉姫!

豊玉姫が魚たちに尋ねると、無くした釣り針を飲み込んだ魚を発見。豊玉姫と山幸彦は結婚し、しばらく海神の館に住んでいましたが、地上が恋しくなった山幸彦。海神に頼んで地上に戻り、豊玉姫のくれた秘密のアイテムを使って、兄を成敗し、しもべとしたのです。

その後、豊玉姫が妊娠を報告しに地上へやってきて、「出産するところは決して覗かないでください」と念を押すので、むしろ気になって見てしまうパターン。山幸彦が覗き見たその姿は龍だったのでした。。

姿を見られてしまった豊玉姫は海に帰ってしまい、残された子供は、「ウガヤフキアエズ」と命名されました。

 

なんか浦島太郎と鶴の恩返しがごちゃまぜに入ったようなストーリーですよね!

いやむしろ、この神話が昔話のネタ元になっているような感じもします。

 

そして皆様、この話を踏まえたうえで、加毛利神社のご由緒を読むと、面白いんです!!

 

 

加毛利神社のご由緒

 

豊玉姫が鵜草葺不合命をご出産の時、周りに多くのカニが集まったため、そばに仕えていた神がカニを掃いて命をお守りした。命はたいそうお喜びになり、その神に「蟹守」の名を与えられた。

 

出産のときに蟹が集まってきたなんて!まるでウミガメの産卵を連想するシーン!

そして、生まれてすぐに「お喜びになって命名」するという神業!あ、神でしたね。。

 

後にカニモリは掃部(カモン)→加毛利(カモリ)→神守(カモリ)と変わり、現社名の加毛利神社となりましたと伝えられています。

 

このカニモリの末裔は山幸彦の本拠地である宮崎県に住んでいたそうですが、三柱の神様の御分霊を奉じ、宮崎神宮からの船で、この船子山の地までたどり着いたのです。そして宮崎大明神としてお祀りしたのが、後に加毛利神社と呼ばれるようになったのだそうです。

 

加毛利神社の境内社

御本殿

社殿は大社造り、千木は男千木、御神紋は二重亀甲に鷹の羽です。

社殿は南西を向いています。

 

御崎さん

ご祭神

玉依毘売命(とよたまひめのみこと)

 

豊玉姫の妹君にあたります。ご出産のときには付き添われ、後にウガヤフキアエズの妻になられました。ミサキという表現は、色々な解釈ができますが。。

 

加毛利神社へのアクセス

JR直江駅から車で5分、歩くと20分程度かかります。

駐車場はありますが住宅地の中のため、県外からお越しの場合迷われるかもしれません。神社北側の道路は往来も多いので、南側の道路に路駐しつつ、場所を確認されるといいかもしれません。

 

まとめ

鳥居が無いのはご祭神が天皇陛下の御先祖だから。

本当は鳥居を出雲大社よりも大きく造りたいけど、出雲でそれをやったら出雲の人を怒らせるし・・・という配慮が見えます。

また、古事記に登場しない逸話、謎の蟹軍隊による襲撃から天皇の祖先を守ったカニモリ。その不思議な特殊部隊がなぜ宮崎から出雲へ移り住んだのか。色々不思議すぎてちょっと笑ってしまった。そんなどこかほっこりする神社なのでした。