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日本酒の製造工程は祈りの儀式?

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日本が世界に誇れる「酒」

世界中のアルコール飲料がたやすく手に入るようになったために、「日本酒」と言わないと伝わりにくくなったのですが。。

 

酒と言えば日本酒

 

日本のお酒とはそれ以外のアルコールとは意味が全く違うと思うのです。

今回はお酒について熱く語りたいと思います。

お酒を片手にお読みくださいね。

 

酒は永遠の命!?

ワインは酸化すると味が変わります。

また、温度や湿度にも神経を使います。

その代わりに繊細で、寝かせた時間を想う至高の逸品が生まれるのかもしれません。

その意味ではワインは時間の経過を楽しむものでしょう。

しかし、日本酒には賞味期限はありません。

時間を飛び越え、いつでも最高の味を発揮します。

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やせば水のような透明感や清涼感を感じ、

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めれば華のように香り立ち、身体を温め、時には風邪っ気を飛ばす薬効を発揮します。

常温でも美味しく、さらに調味料として使えば食材の臭みをとり、香り高く仕上げてくれます。

日本酒は微生物のチカラで作る

お酒の製造には3種類の微生物が2種類の発酵を起こすという複雑でコンロールが難しい工程が含まれます。

昔の人たちはこれをどのように発見し、どのようにコントロールしてきたのか、まさしく謎です。

お酒の原料は米と水。

しかし、このシンプルな2つの素材が2つの発酵を同時に起こすことによって、世界に類を見ない高アルコール度数のお酒になるのです。

日本酒づくりの基本「麹」

穀物がアルコールに化学変化していくためには、糖化する必要があります。

日本酒づくりで最初に行うのは、糖化を促すための材料「麹(こうじ)」を作る工程です。

お米には糖分が少ない為、そのでんぷん質を糖に変化させる微生物

「麹菌」の働きを利用します。

お米を蒸し、麹菌が育ちやすい温度まで冷やしたものにこの麹菌を培養させ、どんどん糖化させていきます。 これで麹づくりが完了。

 

 

日本酒造りの基本「酛」

アルコール発酵を行う為の材料を作ります。

これがお酒のづくりのベースとなるため「酛(もと)」と呼びます。

アルコール発酵には「酵母菌」の働きを利用します。

お米を蒸し、酵母菌が育ちやすい温度まで冷ましたら、ここに第1工程で作った麹を加えていきます。

アルコール発酵を進めるためには酵母菌だけが安定して増えて行って欲しいのですが、空気中からあらゆる雑菌の攻撃を受けると、酵母の増殖が進みません。

そこで今度は乳酸菌の力を借ります。

乳酸菌が酛の中で増えると雑菌の増殖を抑えるとともに、酵母菌とどちらが生き残るかの熾烈なバトルを繰り広げます。

サバイバルを勝ち残った優秀な酵母だけが増殖していき、上質なお酒になっていくのです。

日本酒造りの基本「もろみ」

酛のアルコール化が進んでいくと液状化が進んでいき、どろどろの半液状「もろみ」という状態になります。

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酵母の進行を妨げないように温度管理をしつつ、麹・酛・水を適量ずつ三段階に分けて追加投入していきます。

これを三段仕込みといいます。

最後にもろみを絞ると、お酒が誕生!

ここまでに1か月かかるのです!!

 

 

まとめ

麹菌はカビ類、乳酸菌は細菌類、酵母という単細胞生物。

複雑な化学変化を同時進行で引き起こして作られるお酒。

ビールやワインなどは1回の発酵によって作られるため、

「材料を放置していたらできた」という

偶然の発見から出来てもおかしくありません。

日本酒はどのようにして発見されたのでしょうか?

 

 

日本酒の製造は祈りの儀式?

日本酒の製造工程は、偶然発見されたという説に立つと、それにしては製造工程が難しすぎるのです。

三種の菌類の活動を利用して作られる日本酒。

菌類を培養して添加する現代の製造方法とは違って、昔の人はどのように発見し、製造方法を確立していったのか?

菌類の力を借りるといっても、知っていてどこかから持ってきたのでは無いとすれば、

酒蔵の中に住んでいるもの

を使うしかなかったはずです。

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「蔵つき酵母」

と呼ばれるように、蔵の中には昔から菌類が住んでいました。

お米を仕込んだら、後は蔵の空気中に存在する菌が降りてくるのを待つ。そしてお米を温め続ける。

先代から受け継いだ蔵を大事に整え、菌が住み着く蔵であり続けるように維持する。

お酒の神様を信じている人にしか製造できない、気長な作業ですよね。

お米にカビが生えたものを温め続けていれば麹菌は発見されるかもしれません。

しかし、酵母菌はどこにいるのかさえ不明なのです。空気中に彷徨っているもの、土の中にいるもの、植物に付着しているもの。

どうやってお米に持ち込むのか。

また、酵母が増えるためには温度管理もさらに慎重にしなければなりません。

最後に1か月待つという工程。

その間お米を温め続ける。。

何か特別な意味があって行われた「儀式」としか思えません。

1年苦労して作ったお米を神様に捧げるため、あらゆる手段を用いて加工したのでしょう。

おむすび、お餅、お酒、などはその成果物なのではないでしょうか?

また、麹菌の発見は味噌や醤油などの発酵食品に繋がって行きます。

 

日本酒は神に捧げる大事なもの

神棚にお供えする物の中に、日本酒は必須。

神社のお祓いやお祀りごとでも日本酒は欠かせません。

やはり元々は神様に感謝を伝えるために作られたのでしょう。

お祀りが終わると「御神酒」と言って人間もいただきます。

神様と同じものをいただくことで、体の中もお清めします。

お祀りの最後には神社の拝殿や御本殿の中で、神職と氏子が直会を行います。神様と一緒にお酒を飲むというその様は、神様と人に優劣をつけない日本人らしい風景です。

日本酒の選び方

それにしても日本酒はどんな食べ物にも合う。

どんな温度でも美味しい。

しかし、さらに至高の世界を求める方に少しだけ日本酒の分類を紹介しておきます。

日本酒には精米歩合といって手間をかけた分、難易度別に格付けがなされています。

お米の外側は雑味やぬめりが多くいため、外側の皮を剥げば剥ぐほど、お酒の味は澄んで行きます。

例えば精米歩合45%であれば、55%を削り取ったという意味です。

ではこれを参考にして格付けをご覧ください。

  1. 純米大吟醸—歩合50%以下
  2. 大吟醸      —歩合50%以下で加水
  3. 純米吟醸   —歩合60%以下
  4. 吟醸          –歩合60以下で加水
  5. 純米          —歩合70%以下
  6. 本醸造      —歩合70%以下で加水

1から6へと下って行くにつれ、磨き方が少なくなって行きます。

逆にランキング1位の大吟醸は、お米の体積の半分を磨いて削り取ったということになります。

加水というのはアルコールを足す作業を加えたものです。

純粋に米と水で作る純米酒と比べて、アルコールを加えたものは良い意味でさらりとして飲みやすいですが、米の味は薄まってしまいます。

日本酒に苦手意識がある方や、お酒に弱い方は吟醸や大吟醸を少し舐める程度に嗜まれてはいかがでしょうか?

米本来の力を感じたい飲み助の方は、純米と名がついたお酒をお勧めします。

加水していないお酒は燗にした時に、むしろ本来の特性を発揮し、味も香りも違うキャラクターを見せてくれます。

また、手間を省いて大量生産に転じたお酒と違って、生酛(きもと)と名がついたお酒は古来の製法に習って、蔵の菌類が降りてくるのを待って作られたお酒です。

サバイバルを勝ち抜いた菌類の放つ、命の恵みを感じたい方は、手間ひまかけた生酛造り純米大吟醸を選びましょう。

これはまさに飲み助の憧れの酒!命の水!

晴れの日にはちょっと贅沢して嗜んでみてはいかがでしょうか?

最後まで読んでくださってありがとうございます!

皆様に良いご縁が結ばれますように!

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